修善寺温泉(しゅぜんじおんせん)は、平安時代に弘法大師(こうぼうだいし)が開いたといわれる修善寺の歴史とともにあり、弘法大師が、川原で病気の父親の体を洗う少年のたっめに独鈷(どっこ)という仏具をつかって湯を湧き出させたのが始まりという。
中心に桂川(かつらがわ)が流れ、その両岸に温泉が並ぶ温泉街は、「日本百名湯(にほんひゃくめいとう)」の一つであり、鎌倉時代の源氏三代の悲劇の舞台ともなった歴史の町。このためだろうか夏目漱石、岡本綺堂(おかもときどう)、尾崎紅葉(おざきこうよう)等さまざまな文人に愛され続けてきた温泉地である。
ここ修善寺で明治5年創業、1、2のランキングを争う温泉 老舗旅館が「新井旅館(あらいりょかん)」である。
国の登録文化財にもなっている宿で、日本で唯一の文化財となっているお風呂「天平大浴堂」が有名である。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)も宿泊したというこの温泉のお風呂は、アルカリ単純泉(低張性・アルカリ性・高温)で、源泉温度は61.2度と高めである。
各館を繋ぐ渡りの橋は白木で作られており、御所のような風情。一品一品丹精に盛り付けられた京風の懐石料理の夕食など、育ちのよさを感じさせる名旅館である。ロビーから眺める日本庭園も老舗のよさを感じさせる品の良さである。